2017/12/10

米株定点観測:International Business Machines Corp (IBM)


IBMの定点観測です。最近はどうなっているんでしょうか。

企業概要


IBMはテクノロジー企業です。事業構成比は創業以来刻々と変化していますが、現在は大きい順にクラウド等を含むTechnology Services & Cloud Platformが44%。AIを扱うCognitive Solutionsが23%。コンサルティングやSIなどのGlobal Business Services が21%。サーバーやストレージなどハードウエアのSystemsが9%となっています。
ダウ平均株価、S&P500採用銘柄です。

評価結果


安定配当および安定業績を好む投資家視線で評価すれば、IBMは普通の投資対象という印象です。

財務分析


■PL

売上は減少傾向です。営業利益率は明らかに下がっています。主な要因は利益率の低いクラウドで熾烈な競争に巻き込まれていること、従来型のビジネスとクラウドがいわゆるイノベーションのジレンマ状態にあることがあります。
一方で一株当たりの利益に対する配当はまだ余裕があり、今後もしばらくは増配余地はあります。ただし今後もこのペースで業績が悪化していくと、危うくなります。


■BS
 
Google financeより

資産は増えていません。あまり成長していないようです。
負債比率は緩やかに上がっていますが、同セクターのマイクロソフトと比較しても特段高くもなく問題は感じません。


■CF

極めて健全な状態です。投資家から見て最も理想的なポジションを維持しています。
営業CFが安定していて、ここ2~3年は投資CFが増えているのも次の飛躍を予感できていいです。 

株価と関連指標


Google financeより
直近4年の PER 履歴 13.1 → 10.4 → 9.5 →13.6


直近5年の株価動向については、指数に大きくアンダーパフォームしています。マイクロソフトと比較するとさらにアンダーパフォームしています。

総評


IBMは創業以来、時代に合わせて大胆に商材を入れ替えて来ました。しかし一貫しているのは自動化、効率化によって顧客事業者を助ける仕事をしている事です。

過去の経緯見ると、IBMの歴史の前半では大きく事業を入れ替える際に上手く対応してきました。

しかし1980年代以降に時代がメインフレームからダウンサイジングしていく大きな変化の中でIBMは対応を誤り大失敗を経験しています。これにより当時数十億ドルの赤字を出して倒産危機に追い込まれています。

この時、IBMはこれまでのハードウェアをメインとしていたビジネスを大胆に投げ捨て、サービスをメインに売る会社へと大変革をはたしピンチを乗り越えました。



そしてここ数年、IBMはまたピンチに直面しています。時代がクラウドへと変化する中でまたも対応に手間取って苦戦しています。
でも以前と違って利益は出ていますので、前のピンチに比べればはるかにマシな状況と言えるでしょう。

そのクラウドですが現在IBMは業界3位につけています。
ここから先は私の考えですが、私は普段は1位の会社しか興味が無いのですがIBMの3位というのは価値があると思っています。

というのも今わざわざIBMのクラウドを選んでいる顧客はIBMでなければならない何らかの理由があるはずで、今後リセッションなどの際にはAmazonより離反が少ないのではないかと予想しています。つまりIBMのクラウド客は忠誠心が高そうだと。

対するAWSの顧客は足が速そうなイメージなので、不況時には一気に解約されそうです。
クラウドは開始のハードルが低い分止めるのも簡単なので、そんな時に防波堤になるのは顧客の質だと思っています。

この変化の速い業界で、6年も減収傾向ながらも売上が立っているのがその証拠と思えます。IBMが本当に弱い企業なら、今頃ブラックベリーBlackBerry Ltd(NYSE:BB)にようになっているはずです。

一方で長年の顧客であった航空業界の予約システムも失ってしまったりと、全く油断ならない状況があることも事実ですが。



次にIBMのAIのワトソンですが、私は最初にIBMを買った時にはこんなの金になるもんかと思っていました。あくまでこれからの主事業はクラウドだと。ところが最近の決算ではいつの間にかワトソンを含む事業の売上が数十億ドルになってるじゃないですか!

商売では顧客に1円でも払ってもらうのは大変なことです。普通、会社で何かを導入するにはタダならわりとカンタンにお試しさせて貰えますが、1円でも有料になると途端に承認が面倒になります。それが数十億ドル規模ですから、これは遊びじゃないなと。



従来型のハードウェアシステムについては、好調な数字が出ているというのも意外です。ハードウェアビジネスは今後とも縮小が既定路線だと思っていますが、数字が出ている以上、この程度の需要は今後も安定してあるのかもしれません。


しかし正直、こう考えても私は自信があまり持てないのです。私以外の投資家は別の部分を見ていて、そっちの方が普通に株価にも重要だから株は上がらないし、バフェットも売ったのかもしれない。

従って、新規に真水の資金をいれてまで追加投資はしたくないけど、配当分くらいは再投資してもいいかなと思っています。どうせIBMから貰った金ですしね。

参考:http://blogs.itmedia.co.jp/business20/2017/08/aws34microsoft11.html
参考:http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/news/17/103102566/
参考:http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/355100/103000029/?P=1